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精霊流し


(しょうろうながし)
 



♪去~年のあ~なたのお~もいでが~♪

さだまさしの歌で有名な「精霊流し」は

亡くなった人の霊を船にのせて海に流す行事で

毎年8月15日に行われる長崎の夏の風物詩。

小説・ドラマにもなり、2003年秋には映画も公開される。

 


 爆竹がすごい
 

私は最初、歌のイメージのように静かで

物悲しいイベントだと思っていた。

ところがどうだろう。

街中が爆竹の轟音に包まれ、暴走族も裸足で逃げ出す

「大爆音シティ」となるのだ。

爆竹は、1箱の中に100本くらい

ミニ・ダイナマイトのようなものが入っている。

私が小学生の頃は、それに1本ずつ火を点けて

ちょっとずつちょっとずつ遊んだものだが、

長崎の人は皆、箱ごと火を点けている。

さらには、爆竹の箱が入ったダンボール箱ごと

火を点けている人までいる。

(ボワーン!と炎が上がっていた…)

とにかくこの日一日の爆竹消費量は物凄い。

おそらく日本一ではないだろうか。

この日の為だけに急遽、花火屋が現れたりもしている。

道端に散乱する爆竹のカス

ということで、必需品は耳栓!

耳栓をしながらビールを飲むというのも不思議な感覚だった。

 

ここまで読んで、

人の霊を送り出すのに爆竹? ビール?

と思う方もいるだろう。(私も最初そう思った)

が、長崎では霊は賑やかに送り出すものらしい。

墓ではよく花火をしている。

消防車が墓場に向かっているところも2度目撃した。

 


 精霊船

精霊船は、新盆を迎えるうちが各々作る。

その数、長崎市だけで1500前後とか。(もちろん年によって変わる)

精霊流しは県内各地で行われるので、

長崎県全体では3500前後ほどの舟が作られる。


精霊船を見物するのは、

長崎県庁の前の通りである「県庁坂」が定番。

各自宅を出発した精霊船が一番多くここを通過する。

交通規制がしかれ、周りに見物人が鈴なりに群がる県庁坂。

県庁坂を行く精霊船

船には、故人の思い出の品を積んだり

故人の趣味を反映させた作りにしたりする。

あ、この人は麻雀が好きだったのか。

車好きな若い人みたいだなとか

船を見るとなんとなくそれがわかる。

また、手提げかばんくらいの小さなものもあれば

良いとこの家のは、普通の船3つ分くらいの大きさのものまである。

金持ちの船はでかい。

 


  精霊船はどこへ行く?

市内行進を終えた精霊船は、海に向かう。

海に漂う精霊船はさぞかし綺麗だろう

と思って港に行ってみると、なんと実際には流しておらず

貨物船のようなでかい船に壊して積み込んでいた。

昔は実際に流していたらしいが、近年は

環境に対する配慮から、そうしているらしい。

(当然と言えば当然か。)



2001年8月、遭難した長崎の漁師・武智三繁さんが

約1ヶ月の漂流の後、無事生還したというニュースがあった。

後半の2週間は飲まず食わずだったという。

灼熱の炎天下で2週間水を飲まないで助かったというのは

まさに驚きだが、朦朧とする意識の中で

精霊流しのことを思い出したという。

「精霊船と一緒にスイカでも流れてこないかなぁ、と思いました。」

と語っていたのには笑ってしまった。

(と同時にこの奇跡の生還エピソードには感銘を受けた。)

 

関連記事:「長崎の街で一体何が起きたのか?


 

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 2003.4