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分析・長崎弁

 

  普通の長崎弁


長崎弁について、地元誌などで紹介されているのを見ると

およそ長崎の人でも普段使わないようなすごいの

が載ってることが多いが、

関東から転入してきた私にとってはそんな特殊な長崎弁よりも

もっと普通の長崎弁がわからなくて苦労したので

そちらの方に着目、分析してみた。


 


  よく聞き取れない…

長崎の会社に転職して間もない頃

会社で台車を運んでるところに声をかけられた。

「台車ばこんがん押してどこにいきよっと?」

よく聞き取れなかった私は

「台車を押してこれまで生きてきたのか?」

と解釈し、次のように答えた。

「いえ、今までずっとというわけでは。」

「は?」

上のやりとりを標準語に変換すると以下のようになる。

「台車をこんなふうに押してどこまで行くの?」

「いえ、今までずっとというわけでは。」

「は?」

こういう天然ボケを何度かやった。(-_-;)


友人の話では、こんなのも。

ホースから水が勢いよく出ていたので、

ホースの先端を曲げて水を止めようとした。

すると横から怒鳴られた。

「曲げんね!曲げんね!」

曲げてはいけない? と思ってホースを元に戻すと、再び

「はよ曲げんね!」

そう、「曲げんね」=「曲げろ」なのである。

しかしこれは関東人には

「曲げんな」=「曲げるな」

に聞こえてしまうのだ。

 


  日常会話その1

長崎弁の日常会話その1:

近所のスーパーの焼き鳥屋にて、とある串を指差しながら。

私「これ何ですか?」

おばちゃん「長かツクネに牛肉ば巻いたもんさね」

短いフレーズだが、しっかり長崎弁に変換されていて恐れ入る。

「長い」⇒ 「長か」

「牛肉を」⇒「牛肉ば」

である。

形容詞は「か」で終わる

助詞の「を」は「ば」に変換

客側も

「バラをひとつ」

ではなく、

「バラばひとつ」

と注文する。

 


  カーソルの…

長崎弁の日常会話その2:

これは自分の中でちょっとした発見だった。

会社で隣に座った女性がパソコンを操作しながら

「カーソルの…」と独り言を始めた。

カーソルの何だろう? と思わず聞いていたら

その後に続いた言葉は

「カーソルの下に動かんごとなっとっとさね」

であった。

これは

「何かがカーソルの下に移動できなくなっている」

という意味ではなくて、

「カーソル下に動かなくなっている」

である。

助詞の「が」は「の」に変換される

また、別の女の子が何かの機械を見ながら喋っているのが聞こえた。

「アダプターのでかかー」

(意味:アダプターがでかい)

やはり、そうなのか…。

 


  よろしかったですか?

長崎弁の日常会話その3:

店内でのやりとりでちょっと気になったのが注文の確認のセリフ。

いわゆる

「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」

という場面で、長崎では

「ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」

となぜか過去形で聞かれる。

これはもしかすると過去形にしているのではなく

形容詞が「か」で終わることに起因しているのかも知れない。

「よい」⇒「よか」

丁寧語にして

「よかでしょうか?」⇒「よかったでしょうか?」

あくまで推測だが…。

 


  語尾の「ばい」

語尾に「ばい」をつけるのは、

「それはむしろ熊本の方で、長崎ではあまり使わない」

と言いつつ、長崎の人もよく使っている。

これはなんでもかんでも

語尾に「ばい」をつければいいわけではなく

「!」的意味合いを持つ。

例えば

「ダメだ!」⇒「いかんばい!」

とか

「これだよ!」⇒「こいばい!」

という感じ。

「眠い…」⇒「眠いばい…」

というふうには使わないらしい。

また、私が務めている会社内では、よく

「飲みに行こう!」⇒「飲みに行くばい!」

という具合に「Let's ~」として使われるのを聞くのだが

これはどうもローカル仕様(?)らしい。

 


  「ばってん」は英語?

もうひとつ

「それはむしろ熊本の方で、長崎ではあまり使わない」

と言いつつけっこう使われているのが、接続詞「ばってん」

これ、由来は 「but then」だという噂があるんだけど

本当だろうか? (意味もそんな感じだし…)

同じような接続詞で

「だけんが」

とか

「せやけんが(そいやけんが)」

もよく使われている。(意味は「~ですから」)

 


  街で見かけた看板

こちらは、街で見かけた看板。

わ、わからん…。

と、思っていたら、こんなメールを頂いた。

多分これは
「この道にバイクを置いて良いんですか?」
(そう言われて)(私は)腹を立てて、
「冗談じゃない、出来ません!」
という意味なんだと思います。

「ぞおたんのごと」という方言は、私の住む地域では使われていません。長崎弁は全国でも類を見ないぐらい地域による違いが大きい方言らしいのです。

つまり、いわゆる

「長崎人でも普段使わないようなすごいの

ってやつか…

 


 他にもいろいろ…

まだまだ、挙げていったらきりがないので

てきとうに箇条書きに。

長崎弁 標準語
こい これ
おい
わい あなた
そい それ
なん
せからしか うっとうしい、面倒くさい
やぜか 「せからしか」の強調版
ごた ~のようだ
こんがん このような
そんがん そのような
どがん? どう?
~せんば ~しなければ
~と? ~ですか?


ところで。

ここで挙げた長崎弁は、いわゆる純粋な長崎弁とは

言えないものもあるかもしれない。

関東から来た私にとっては、それが「九州では一般的」だとか

「長崎に特化している」とかの区別がつかないのだ。

そこのところは大目に見て、拡大解釈してもらえるとありがたい。

 

補足:よろしかったですかの謎

 

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2003.2